【映画感想】「グリーンブック」は、現代のアメリカが欲して止まない「最強のふたり」である

日記
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引用:https://gaga.ne.jp/greenbook/

エリート黒人ピアニストと、乱暴な白人ガードマンが
差別意識吹き荒れる1962年のアメリカ南部を旅する
映画「グリーンブック」を見てきました。

※以下の感想にはネタバレが含まれている可能性があります。

最大の魅力

この映画の魅力はいろいろあります。
しかし、最も正当な感想としては、「いがみ合っていた二人が互いを認めあう」という部分ですね。
話の構造としては、シンプルながら視聴者の心をつかむ良いストーリーだと思います。

また本作では、二人の立ち位置が極端なまでに対比されています。

  • 黒人のシャーリーと、白人のトニー
  • エリートのシャーリーと、その日暮らしのトニー
  • 金持ちのシャーリーと、貧乏なトニー
  • 非暴力なシャーリーと、乱暴者のトニー
  • 文化人のシャーリーと、下品なトニー
  • そして、お互いを羨ましく思う二人

本作では、二人が「これまで自分が大切にしてきた生き方」で、それぞれ困難に立ち向かいながらも、「自分に無い力や才能」を持つ相手を前にして、互いを見下し・理解し・やがて尊敬していきます。
ストーリー的にとても自然で必然性があり、どんどん物語に引き込まれていく、素晴らしい映画でした。

「最強のふたり」との比較

ポスター画像
引用:https://eiga.com/movie/57365/

さて、この映画の感想を言うに当たり、
2011年公開の映画「最強のふたり」と対比させる必要があると感じました。

「最強のふたり」はフランスを舞台とする、
体が不自由な白人の富豪と、その介護人になった黒人の物語です。
こちらもストーリー上、互いを極限まで対比させる存在として描かれており、話の構造は「グリーンブック」に非常に近いものがあります。
当時、この映画も非常に高い評価を受けていました。

「グリーンブック」が「最強のふたり」とほぼ同じストーリーなだけであれば、アカデミー賞を取ることは出来なかったでしょう。
また私も、ストーリーの類似性は感じつつも、受ける感想に微妙な方向性の違いを感じました。
逆に言えば、「グリーンブック」と「最強のふたり」の描写の違いの中に、
2018年ならではの社会的な問題点を「ぐさり」と刺す何かがある筈です。

さて、「違い」について、考えて行きます。
まず、最初に感じたのは、「二人」の対比の構造が微妙に異なることです。

「最強のふたり」では、
あえて言うならば「白人」側に優位性があるように感じています。
ふたりが揃うと最強なのは間違いないのですが、ふたりの個々の権力という目線から見ると、雇用主が優位です。
人生に絶望した富豪に、楽しみ方を教える介護人といった構図になっています。

対して、「グリーンブック」では、少なくともストーリー内では互いに対等です。
当然、「雇用関係」にあるわけですから見た目の上下関係はあるのですが、実際は目的達成のために互いの能力が必要不可欠という状況になっています。

これはおそらく、二人に共通の「敵」が設定されていることによるのかと思います。
「グリーンブック」での敵は、「差別・偏見」といった形で描写されています。

さて、ここで
「何だ、よくあるアメリカ映画の、敵を倒してメデタシメデタシのフォーマットね…」と短絡的に終わるわけには行きません。
そもそも、「敵」は二人にとっては巨大すぎます。

アメリカ映画のフォーマットの影響がゼロとは言いませんが、
私は、この構図はアメリカ人が抱えている闇に対応しているのではないかと思います。

現在のアメリカは大きな闇を抱えています。

貧富の差は拡大し、実態としての経済は停滞気味です。
少数の富豪が急速に資産を蓄えていくのとは裏腹に、
大多数の民衆は、今日より良い明日が見えないまま、本当の貧困に落ちないように精一杯しがみついています。
その力は、人生の一発逆転をかけて、政治素人のトランプを大統領に据えるまでになっています。

対して、「グリーンブック」ですが、
二人は自分ではどうにもならない「世界」に絶望を感じながらも、懸命に抗うわけです。

世界に踏みつけにされ、屈辱を感じながらも、
抗って、

抗って…、

最後には、幸せを掴み取るわけですが、
これは、華々しく敵を滅ぼして喝采を浴びるアメリカ映画のフォーマットではありません。

世界に対する憤り、
先の見えない未来に対して、
「幸せ」とは何かというエッセンスの一滴を提示するもの。
それがこの映画のように思えます。

そして、それゆえに未来に惑う人々の、共感と感動を誘ったのではないでしょうか。

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