学生さん、トンカツをいつでも食えるくらいになりなよ。

一部ネットで有名な画像があります。
人間として丁度いいのは、トンカツをいつでも食べられるレベルであるというものです。
「美味しんぼ」の有名なエピソードですね。
私はこれまでセミリタイアするための必要資産を見積もってきました。
基本的には自分の生活費から逆算しており、これはこれで正しいとは思うのですが、
別方向から「えら過ぎもしない、貧乏すぎもしない」生活水準を提示された形です。
と言うわけで、今回は「トンカツをいつでも食べられる」のに必要な年収を見積もっていこうと思います。
いつでも、どんな時にでも「トンカツ」
さて、いつでもトンカツを食べる生活を考えて行きたいところですが、その前にいくつか前提条件が必要になります。
今回は、前提条件を下記のように置きました。
- 漫画が掛かれた当時の物価を考慮する。
- 食費をベースとして考え、そのほかの費用は同等の食費を使用する平均的な家計(一人暮らし)とする。
おっと、あともう一つ重要なことを忘れていました。

いつでもトンカツを食べるために、食事は3食全て「トンカツ」とします。
さて、学生さんは、どの程度の年収を要求されているのでしょうか…?
当時のトンカツは何円か。
さて、「美味しんぼ 11巻」は1987年発売だそうです。
物価を考えると言っても、そんなに急な変動は考えづらいので、大雑把に1980年代と考えればよいでしょう。

ですが、実は該当の部分は作中人物の回想です。
当時からさらに30年前のトンカツなので、時期的には1950年(昭和25年)代のセリフとなります。
太平洋戦争終結が昭和20年8月15日ですから、終戦から5年程度しか経っていません。
残念ながら作中に値段は出ておりませんが、いくら高度経済成長中であったと言えども、その頃のトンカツはなかなかに高級品であったと思われます。
残念ながら当時のトンカツ定食の値段が分からなかったのですが、こちらのサイトによれば、
昭和30年生まれの管理人が学生時点で「トンカツ定食は280円程度」とのことです。
もう情報が無いので、これをベースに消費者物価指数から昭和25年のトンカツ定食の値段を逆算することにします。
物価の基準には「今ならいくら」様を用い、「トンカツ定食280円」は「昭和46年」(16歳ごろの記憶と勝手に仮定)の出来事だと仮定します。
280円×(220/720)=約86円
四捨五入して、以後「当時のとんかつ定食は90円」と考えます。
当時のトンカツは現在の貨幣価値でいくらか
昭和25年時点のトンカツが、90円だと仮定したところで、現在の貨幣価値に直してみます。
貨幣価値の矯正に当たっては、初任給を基準にするのが良いと考えました。
冒頭の「トンカツをいつでも食べられるくらいになる」と言うのは、とんかつ定食を食べても給料全体に対するダメージが大きすぎない、と言う意味だと捉えられます。
よって、当時の初任給でどのくらいトンカツが食べられるのかを考えます。
給与に関しては、先のページでは比較しづらいので、こちらのページの「2 給料・賃金」から「国家公務員初任給」情報をもとに考えます。
「勤労者世帯 実収入(月)」を基準にすることも考えましたが、世帯収入では家族構成の変化もあって分かりにくいと考えました。
当時の公務員の月収が4,223円なので、90円のトンカツ定食は、47皿分に相当します。
では翻って、現在の国家公務員が47皿分食べられる値段を割り出します。
181,200円/47=3855円
出ました。
つまり冒頭の店長は現在の貨幣価値で、
「4000円程度の食事をいつでもできるくらいの男になれ」と言っているのです。
当時のトンカツを食べ続けると・・・?
さて、当時のトンカツ定食が、現在の貨幣価値で約4,000円に相当することが分かりました。
あとは、これを毎食食べるといくらかかるかです。

これは簡単。
4000円×3[食]×30[日]=36万円!
つまり、食費が36万円ですから、それに対応する家計を持ってくれば、それがどのくらいの年収なのか判別がつきます。
とは言いましたが、食費36万[円/月]の家計なんて探しても有りませんでした。
ただし、一般的にエンゲル係数は20%~30%で、所得が増えると20%に近くなると言われています。そこで、最大限所得が多いと仮定し、20%で逆算定すると、

月収…180万円…だと?!
なんてことだ、あのおやじ、無茶を言いやがる。
そんな金、俺が欲しいわ。
なお、年収にすると2160万円となります。(ボーナス等考慮せず)
まじめに考える
まあ、毎食トンカツ定食と言うのがおかしな話なので、普通に考えれば4000円クラスの食事は、
一週間に2回程度で十分でしょう。
毎日の食費を2000円として、2回分トンカツ定食を入れると66000円となります。
これを下の表で確認すると…。

大体、年収400万円クラスに相当しますね。
そのくらいが「ちょうどいい」ということらしいです。

私はもっと欲しいぞ――!!
コメント
これは面白い分析。
『いつでも』って『毎日』って意味じゃなくて『食べたいと思った時にいつでも』っていう意味だと思うけど